西武・ソフトバンクのFA騒動
2024-01-28


もうすっかり過去のできごとになってしまったが、プロ野球オフのひとつの騒動として、FAに関連する人的補償問題があった。経過は次のようだった。
・女性問題を起こした西武の山川が、FA宣言をした。
・GMの王は反対したとされているが、現場の強い要望で、ソフトバンクが西川をとった。
・FAで移動する選手がでると、人的補償というシステムで、だれかが代わりに西武にいかねばならないのだが、自由に指名できるのではなく、指名できない選手をソフトバンクはプロテクトすることができる。その名簿以外からほしい選手を指名するのだが、プロテクトされていないなかに和田がいたので、西武は和田を指名したらしい。
・ソフトバンクが和田にその旨伝えると、和田は、西武にいくなら引退するという意思を伝えたという。
・あわてたソフトバンクは、西武と交渉し、プロテクトされていた甲斐野を指名して、了承された。
 以上が経過である。これらの一連の途中経過は、秘密なので、漏れ伝わっているにすぎない。しかし、とんでもなく事実と違うことが報道されることは、この手のニュースではあまりないので、大方正しいのだろう。
 一応、こうした事実があったという前提で考えたい。

 まず、和田への批判がかなり強かったようだ。日本プロ野球におけるルールなのだから、和田には拒否することはできないのに、なんとか居残ろうという姑息な手段をとったということなのだろう。ただ、これに関しては、まったく的外れの批判だと思われる。というのは、人的補償の対象となった選手は、通常はそのまま移籍するが、どうしても受け入れられないときには、拒否することができるが、そのときには、プロ野球界から引退しなければならないというルールなのだそうだ。そういう意味では、移籍を拒否して引退する、という認められた道をとると宣言しただけなのだから、なんら非難される理由はない。実際に、あわてたソフトバンクが次善の策をとろうとしなければ、和田は引退したのだろう。その場合、つよい同情の念が起きただろう。
 選手個人からみれば、妙な制度だ。プロテクトされないということは、所属球団からいなくてもこまらないという烙印をおされたようなものだが、相手の球団からはぜひ来てほしいということだ。トレードもそうだが、トレードの場合には、球団にとっては、ほしい選手を双方がとれるし、選手にとっては、環境をかえることで、活躍の場を確保できることが多い。だが、人的補償の場合には、やはり、犠牲にされるという印象が強い。

 ソフトバンクは、まさか和田が指名されることはないと思っていたようなのだ。実際に、前年にもFA獲得選手がいて、その際にも和田をプロテクトしなかった。それは、和田は既にプロ野球選手としては高齢であり、かつ高額の年棒をとっている。そういう選手を指名するはずがないということで、あえて和田をプロテクトから外していたというのだ。ありうる話だが、姑息といわざるをえない。当然、何故和田をプロテクトしないのか、という批判も強くあるし、和田を出すつもりもなかった球団は、あわてて西武と交渉し、甲斐野を代わりに提供したというわけだ。しかし、甲斐野は、活躍が期待されていた選手で、プロテクトしていたのに、とられてしまったということで、ソフトバンクとしては、大きなマイナス面を生じさせてしまったことになる。指名されないはずだ、などという安易な考えで、プロテクトから外し、いざ指名され、当人から引退を申し出られると、あわてて、やってはいけない交渉をもちかけて、かえって不利な結果を招いてしまった。
 選手からフロントへの不信感も当然起こっただろう。


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[社会]

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