アシュケナージのこと1
2023-12-24


私が協奏曲ボックスを購入したのは、実はある一枚が聴きたかったからだった。その一枚は単体では当時入手できなかった。それはアシュケナージがショパンコンクールで2位になった記念で録音された2番の協奏曲だった。周知のように、このときの2位は実際には一位で、当時のショパンコンクールの審査を支配していた政治的思惑で、2位になっただけで、だれもが1位だと思っていたらしいし、そして実際その後の活躍からしても、それははっきりしていた。大分前にFMでこの演奏を聴いて、そのあまりのすばらしさにいつか購入したいと思っていたのだが、どういうわけか、ショパンコンクールの優勝者は、その後ショパンの協奏曲を録音しないような傾向があって、実際にアシュケナージもポリーニも、ライブで演奏はしても、録音はしていない。
 2番はその後、ポリーニのすばらしいライブに接して、どうしてもいい演奏がほしくなり、アシュケナージのボックスにはいっていることを確認して、購入したのだった。(ポリーニは2番をまったく録音していない。その後何度もきいたが、やはり、すばらしい。2番の2楽章は、ピアニストの音楽性が、はっきりとでる曲だ。50年代の録音だから、古いのだが、音はすばらしい輝きでとらえられている。コンクールの優勝者が、大家になって録音しないのは、あのような曲は青春時代だからこそ、味がだせるという感じがあるのだろうか。 (2023.8.28)

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